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◆Q&A
―― これからますますおふたりのコラボレーションが楽しみなところですね。まだまだお聞きしたいことがたくさんありますが、さて、ここで皆さんからのご質問をうけたいと思います。
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質問1 『西瓜』についてお聞きします。台湾といえば、西瓜のほかにもマンゴーや台東の釈迦頭といったいろいろなフルーツがありますが、西瓜にこだわった理由というのはなにかありますか?
蔡 台湾は国際的にもフルーツ天国です。農業がとても発達しているのですね。私は海外で上映する映画のなかで、台湾の西瓜をこれだけたくさん使っているわけですから、台湾政府農業部から賞金が出てもいいと思います(笑)。
なぜ西瓜かと聞かれれば、西瓜の形そのものに、なんとなく強い思い入れがあります。台湾で西瓜が売られているときは、半分に切ってあります。半分に割ると、熟れた西瓜は亀裂が入りますよね。するととても美味しそうに見えます。その亀裂がまるで人の顔のように見えるのです。そういうふうに西瓜は、人の顔に見える、人間のように見えるというわけなんです。
質問2 『西瓜』のミュージカルシーンのなかで、蒋介石の銅像の周りで女性たちが踊っていますが、あれは許可をとっているのですか?
蔡 台湾はここ数年、そういった面ではとても開放的になりました。蒋介石総統のシーンはもうちょっと前だったら、拘留されるところでした。今は民進党の政権ですので、特に民進党の方から、そういうことを言われることもありません。また、国民党の方も、わざわざこんなことで意見を言うと、国民の心証を悪くすると考えたのではないでしょうか。
私は、別に蒋介石総統をおちょくるような気持ちはありませんでした。ただ、総統の銅像は男性の象徴ですから、あんなところにひとりぼっちでずっと立ち続けていて、総統、お疲れ様という気持ちで、女性が行って、ダンスをしてあげるということがあってもいいんじゃないかと思ってやりました。
質問3 三田村恭伸さんを、また映画に起用する予定はありますか?
蔡 私は人生はすべて自然に、と考えています。三田村さんもすももさんも、非常に私にとってはいい印象を残してくれましたし、努力してくれましたし、才能のある方たちです。私はどんどん必死に撮り続けるというタイプの監督ではありません。いろいろとじっくり考えながら撮っていくというタイプの監督です。やはり、文化的な背景の違いもありますし、そのときどきの状況もありますので、かつて一緒に仕事をした俳優さんたちをずっとケアし続けるという力が及ばないということもあります。でも、私はこの人たちと仕事をして、そのよさを知っているので、機会があればまた仕事をしたいと考えています。
昨夜、諏訪敦彦監督と対談をしたので、このおふたりは素晴らしい俳優さんたちなので、機会があったら、是非使ってほしいとお願いしておきました。こうやって、おふたり並んで座っていらっしゃると、このおふたりでコメディを撮ったら絶対受けると思うんですね。お兄さんと妹という設定です。
すももさんは今はAV業界におられないで、他の仕事をしていると聞きました。彼女はここ一年来、一週間に2回演技の学校に行ってらっしゃるそうです。それは私にとってとても嬉しいことです。三田村さんに関しては、もう言うまでもありません。演劇界の人で、舞台俳優として、たいへんでしょうけれども、またそういう機会があると思います。
私は現実的なことを考えているんですが、この『西瓜』や『楽日』を見た日本の芸能界の人たちが、このおふたりの演技に注目して、日本の芸能界でもっといい仕事ができるように、そういうチャンスがあればと願っております。私の作品で、どうこうというより、是非日本で、発展させていっていただければと心から願っています。是非、この場にいらっしゃる皆さんのお力で、このふたりをスターにしていただければと思います。
◆『楽日』は宇宙だ
―― それではそろそろ時間が来たようですので、最後に一言ずついただけますでしょうか? まずは三田村さんから。
三田村 『楽日』は数年間さまよいながら、難しい映画だとか言われていますが、決してそんなことはありません。平面的に見ると、映画館があって、人が入って出てくるまでのシンプルな話なんですが、ちょっと見方を変えてみるとものすごく面白くなってきます。
さっき初めてこの映画のチラシの裏の文章を読んだのですが、まさに、そのとおりだと思いました。これはいろいろ海外で紹介されている『楽日』のストーリーとは、全く違った角度から、ちょうど斜め45度下から絶妙なライトを当てているような、ストーリー紹介でした。
迷宮の映画館が、宇宙のなかにひとつだけある宇宙船であるわけで、なかにたくさんの乗組員が乗っていて、それが、ずっとオールを漕いで、東側に消えていくっていう、それは彗星みたいに燃えていってしまうわけなんですが、そういう一瞬一瞬の出会いが重ならないように、一瞬一瞬が二度とないような感じがこの映画のなかにあるのを、さきほどこのチラシの文章を読んで思いました。あ、これは宇宙の映画なんだ!って、出ているにもかかわらず気づかなかったんですね。宇宙の一瞬の時間が二度とない、同じシーンは必ずない、今皆さんとお会いしているこの瞬間も二度とない、そういう宇宙のなかのある惑星の映画、それが『楽日』だということを発見できました。皆さんもあと一ヶ月半、楽しみに待ってください。よろしくお願いします。
夜桜 『西瓜』に出演させていただいて、自分自身とてもいい勉強になり、すごく思い出のたくさんつまった映画です。皆さん、ご覧になっていろいろ感じ方が違うと思うのですが、それをいいきっかけとして役立てていただければ嬉しいなと思います。皆さんの大事な人に、周りにいる家族と、お友達とかに、良かったよ、って一言伝えていただければと思います。
李 ここにいるファンの皆さんというのは本当に大切な方々です。アートフィルムというのは本当に難しい状況を迎えているわけですが、この映画をご覧になったら、みなさんの大事な人、好きな人にしっかり紹介していただいて、その方々に映画を見てもらってください。今日はこうやってお目にかかれて本当に嬉しかったです。僕の二作目を撮り終えられたら、また日本に来たいと思います。ありがとうございました。
蔡 今日、クリエイティブな仕事をしている人のために発行している雑誌の記者が取材に来てくれました。この方は、昨夜の諏訪監督との対談も聞きに来てくれていて、私にこのような質問をしました。「監督、あなたは、ファンの方たちだけが、あなたの映画を見るだけでは十分ではないと思うのですか」皆さんはどう思われますか?
私が思うに、皆さんだけにしか私の映画を見ていただけないとしたら、私のような作品を作る人間は確実に消えていってしまうでしょう。世界的な映画の流れていく傾向というのは、映画をビジネスとしてしかとらえていないということです。クリエイティブなことをする、アートフィルムを作っていくということは、ますます、厳しくなっていきます。クリエイティブな仕事に対する、そういう姿勢が消えて、そういう作品が消えていってしまえば、誰もそのことを語らなくなっていってしまいます。やはり、その流れを妨ぐ為には、作り手である我々自身が、声を上げて行動を起こさなければいけません。ハリウッドに対抗しようとしても、それは無意味なことです。それは出来ないことです。
しかし、そのアートフィルムがクリエイティブな分野の空間をしっかりと残して、そこの空間を徐々に広げていきさえすれば生存の意味がある。多分ここに70人ぐらいの方がおられますよね、ここにおられる70人の方それぞれ自分のお友達が、100人くらいはいらっしゃいます。それぞれ一人ずつ100人、100人の人に、自分でチケットを買ってもらって観にいってもらえるようにして下さい。70人の方が100人とすると7000人動員できますよね。そういう風にして、映画館の支配人の人たちに、「そういう映画を上映してもお客さんが来るんだ」と言うことを、しっかりと知らせてあげる、そうすると、きっと将来的にそういう映画を上映してくれる映画館が増えるでしょう。
今から、この映画への思いを毎日持ち続けてください。どこへ行くにも、このうちわを持ち続けてください。別に知らない人にでもいいんです、このうちわを見せてください、こういう映画がある、と紹介してください。そして、お友達にも、是非映画に行くことを勧めて下さい。
◆“わらじ売り”の精神
実は、昨夜の対談でも、わらじ売りの話をしました。もうお聞きになった人もここにもいらっしゃると思いますけれども、もう一度、ここでお話をさせていただきたいと思います。この話は、皆さんを入り口として、お知り合いの方に伝えていっていただければと思います。台湾の非常に有名なお坊さんに、星雲法師という方がいらっしゃいまして、その方はいつもわらじを、履いていたんですけれども、30元のわらじを買うたびに、なぜか毎回40元払っていたわけです。ところが、ある日、このわらじ売りが、いつも40元くれることを不思議に思って、「どうして30元でよいのに40元くれるんですか?」と聞きました。和尚さんは答えました。「自分はこのわらじを履くことにすっかり慣れていて、このわらじ以外は履く気がしないんだ」と言いました。「もし、このわらじを作る人がいなくなってしまったら、自分は本当に困ってしまう、だからあなたがこのわらじ売りをやめないでいいように、ちゃんと生活していけるように、私が余分にお金を出して40元でそのわらじを買っているのです。」
私たちはこのわらじ売りと同じです。映画を作る私たちは、わらじ売りですし、この映画を配給する人たちもわらじ売り、そして皆さん、ここにいる皆さんこそが、星雲法師であるということです。このわらじ売り運動は、台湾ではもうある程度の成績を収めています。ですが、台湾では、成功していますけれども、これから、日本でこのわらじ売りの運動を、是非広げていってもらいたいと思いますし、また私は、マレーシアでもこの運動をどんどんやっていきたいと思っています。マレーシアの状況は、日本よりももっと厳しいはずですが、そこでも私は、私の映画をもってそういう状況を変えていきたいと思っています。みんなで一緒に頑張りましょう。
―― ありがとうございました。今、ツァイ・ミンリャン監督に本当に心をこめて語っていただきましたけれど、私たちも本当に真剣にわらじ売りをやっています。台湾では、地道なわらじ売り運動の結果、5万人の固定ファンが生みだされ、ツァイ・ミンリャン監督の映画が作られれば、彼らは必ず劇場に見に来るという状況が出来ています。
これから皆さんと一緒に、日本でもそのような状況を作り出していきたいと思っています。ツァイ・ミンリャン監督の次回作が日本で公開され、またこのような会が設けられるよう、どうかご協力をお願いします。
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