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三田村恭伸 今日この映画を見に来てくださった皆さん、本当にありがとうございました。『楽日』、今日が楽日です。その最後の上映が今終わりました。この映画を撮った時から数年が経った今、この劇場がこんなに熱い空気で溢れていることをすごく嬉しく思います。
この映画は今だかつてないタイプの映画です。その映画がどのように受け入れられるのか、『楽日』の初日、私はすごく心配で不安でした。そんななかで、様々なイベントを開いて多くの方とコミュニケーションをとっていくうちに私は自信を持つようになりました。新しい引き出しができて、日本でもこのような映画が認められるだろうという自信でいっぱいになっていきました。ツァイ・ミンリャン監督、リー・カンション、チェン・シアンチー、そして私。他のキャストやスタッフ、そして配給会社であるプレノンアッシュ。この映画に関わった全員が自信を持って提示したつもりです。いかがだったでしょうか。
今、自分がここを離れてしまうと『楽日』が終わってしまう。私はそのことをすごく淋しく思います。『楽日』の初日、あんなに暑かった東京の街が今はすっかり秋になってしまいました。長かったような短かったような不思議な感覚です。先週『楽日』を見に行った時、私は、この映画が少しずつ認められてきたという感覚、場内に暖かい空気を感じました。それはすごく嬉しいことで、本当によかったと思います。きっと、台湾にいる監督もそう思ってくれるはずです。『楽日』の最終上映に人が誰もいない…。映画の中のワンシーンのようだったらどうしようと思っていました。でも、そうではなかった。宣伝を強くしたわけではないですが、今日こんなにたくさんの方が『楽日』を見にきてくださっていることを本当に嬉しく思います。また、何回も『楽日』を見にこられている方もいるとスタッフから聞き、そのこともとても嬉しく思います。
この映画を東京で、日本で知ってもらうにはどうしたらいいのか、私はこの数ヶ月ずっと考えてきました。普通の映画みたいに取材やテレビ宣伝ではなく、この映画でしかできない方法はなんだろうか、と。そう考えた時に、色々な方とコミュニケーションをとる事を思いました。この映画を愛してくださっている多くの著名な方々とトークショーを繰り広げる。作家の中原昌也さん、映画監督の諏訪敦彦さん、映画監督の瀬々敬久さん、俳優の西島秀俊さん、評論家で翻訳家の野崎歓さん、映画監督の水谷俊之さん、評論家の宇田川幸洋さん、女優の坂井真紀さん。このやり方は決して派手ではなく草の根活動のように地味なものです。しかし、一番この映画らしい方法、皆さんに直接伝わる方法だと思います。もう言い残すことがない、というぐらい万全の状態で映画を上映することができたと思っています。そんな満足な気持ちで私はトークができました。
『楽日』は今日、東京では楽日ですが、初日でもあります。これから地方に旅に出ます。西日本だったり、北海道だったり、いろんなところを旅して、さらに成長していきます。数年前、東京国際映画祭でこの映画を見た時と今と、私の中でこの映画の印象が変わってきました。この『楽日』は普通の映画と違う、まるで生きているように感じてしまいます。魂が入り込んで、ドクドクと心臓の鼓動がこの映画の中にはあるのではないか。それは、靴の音だったり、雨の音だったり、ナッツの音だったり。そうして鼓動を響かせている。成長し続けている映画だと思います。これから地方をまわって、さらに成長して、そしてまた東京に戻ってくることができたらと強く思います。そうしたいです。それは会社の力だけではなく、皆さんの強い気持ちがないと実現しません。賛同して下さる方は是非、その強い気持ちをずっと持っていて下さい。東京に戻って、東京でもう一度楽日を迎えたいと思います。言葉がうまく出てきません。何を話せばいいのかまとまらないまま、この場所にきました。この『楽日』という映画を忘れないでほしい。その気持ちでいっぱいです。
この『楽日』の原題は〈不散〉、そして、この後上映される『迷子』の原題は〈不見〉。「不見不散」…またお会いしましょう。これは何があってももう一度必ず会いましょうという、強いメッセージの言葉です。日本にはない強さを持っています。もう一回会わなくてはいけない、会いたいという気持ちでいっぱいです、忘れないでいて下さい。
「不見不散」。ありがとうございました。
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