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| 西島 秀俊プロフィール |
| 1971年生まれ。俳優。主に映画を中心に活躍しており、様々な監督の映画に出演している。代表作として『2/デュオ』('97)『Dolls』〈'02〉『さよならみどりちゃん』〈'05〉などがある。現在、NHK『純情きらり』に出演中。最新作『LOFT ロフト』は今秋公開予定。 |
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◆ツァイ・ミンリャンとの出会い
篠原 みなさん、本日はこのイベントにお集まりいただきましてありがとうございます。今日は女性の方の比率が高いですね。私も今日は、『楽日』の中に出てくる桃饅頭を意識して、ピンク色の着物で来てしまいました。それでは『楽日』の主演男優、三田村さんとツァイ・ミンリャン作品が大変お好きでいらっしゃる西島さんをお迎えしまして、ツァイ・ミンリャン映画の秘密・魅力をお聞きしていきたいと思います。まずは一言ずつご挨拶していただきましょう。
三田村 『楽日』の三田村です、よろしくお願いします。今まで何度かトークショーに参加させていただいたんですけれど、今日も何人か見たことのある方がいらっしゃいますね。やはり、この映画がヘビーユーザーのファンの人たちに支えられている、という気がします。西島さんとは、もう3回ぐらい会っていますよね。
西島 そうですね、もう何回かお会いしていますよね。
三田村 西島さんは日本の俳優さんの中で一番好きな俳優さんなんです。今日は西島ファンがいっぱいいるこの中に紛れ込んでいるヘビーユーザーの方のように、西島ファンの人たちに少しでも『楽日』に興味を持って帰っていただいて、出来れば一人五枚ぐらいチケットを買ってもらいたいですね(笑)。どうぞよろしくお願いします。
西島 今日は僕なんかがこの席に座らせていただいて、しゃしゃり出てしまって本当におこがましいんですが。今回ツァイ・ミンリャン作品が三本連続して公開されるそうで、どれも刺激的で挑発的な作品、本当に素晴らしい映画ですよね。少しでも何か協力できることがあればということでお邪魔させていただきました。よろしくお願いします。
篠原 今日はどういうお客様がいらっしゃっているか始めにお聞きしてみましょうか。まず、今回公開される作品は三本とも東京国際映画祭で公開されている作品なんですが、見たことがあるという方いらっしゃいますか。
(20人ぐらいの手が上がる)
西島 けっこういらっしゃいますね。
篠原 もう一つ聞きましょうか。「この映画を是非友達に広めたい!」という方いらっしゃいますか。ちょっといらっしゃいますね。こういうことでございますので、今日のこの話を聞いて、友達を誘って行きたいなという方が増えてくださればいいですね。三田村さんのツァイ・ミンリャン体験の始まりは、たまたま三軒茶屋の名画座ですよね。
三田村 そうですね。そこで初めてツァイ・ミンリャン監督の映画を見ました。
西島 僕もその映画館には時々行きますよ。サミットの横を入っていくところですよね。
三田村 そうです、サミットの横です。見に行こうと思って行った映画館ではなかったんですよ。たまたま雨降りにあって、とりあえず雨をしのぐ為にそこしかないという状況で。とりあえず真正面に見える映画館に走って行った時、ちょうどそこでツァイ・ミンリャン監督のデビュー作品『青春神話』が上映されていたんです。もちろんツァイ・ミンリャン監督のことは全く知りませんでしたし、アジア映画も台湾映画も知らなかったんです。でも、その映画を見てすごく感動しました。「この映画を作った人にどうしても会いたい」と思ったんですね。それですぐに台湾に行きました。
西島 三田村さんと初めてお会いした時、ツァイ・ミンリャン監督やリー・カンションと中国語で話をされてましたよね。監督に会いに行く時に中国語を勉強されたんですよね。
三田村 それしかコミュニケーションをとる方法がありませんでしたからね。最初はガイドブックのコピーだけを持って、「日本語しゃべれる人いませんか」って書かれたところを見せて、台湾の町に出たんです。でも、それではコミュニケーションはとれない。それからすぐに勉強を始めました。文法はむちゃくちゃかもしれませんが、少しずつできるようになりました。
西島 すごいですよね。それで、台湾に行かれてどうしたんですか。
三田村 ただ会いたいっていう気持ちだけで行ったんですよね。『青春神話』という映画を作っている人は一体どういう人で、どんな生活をしている人なのか。知りたかったんです。
◆監督との縁
西島 会えたんですか。
三田村 それが、偶然の重なりで会えたんです。初めて訪問した会社が、まさにその『青春神話』という映画を作った会社だったんですよ。
篠原 西門町にある会社、中央電影公司ですよね。国民党が運営していた映画会社で、大きな映画街の中にあるんですよね。それにしても、「ここに行ったらいるかも」って思ったんですか。
三田村 そうですね。そのビルにはマクドナルドが入っていて、「ここには日本語ができる人がいるかもしれない」って思って入っていったのが、その会社だったんですよ。
西島 すごい偶然ですね。
三田村 そういう偶然ってありますよ、絶対に。縁のない人とはきっと会わないまま過ぎていくだろうし、それがどんなに好きな監督でも。縁があれば日常の出会いでも特別なものになりますよね。縁とかそういうのって信じてしまうんですよ。ツァイ・ミンリャン監督との出会いも、やっぱり縁だと思います。この『楽日』という映画に関しても、初めは監督のラインアップの中にはなかったんです。取り壊される映画館があって、そこで映画を撮ろうということになって『楽日』という映画が生まれた。そして、たまたま監督の必要としていたものと自分とが重なったということで出演することになったんです。もちろん、映画に出たいなんてことを言った事もありませんし。
◆削ぎ落とされた演技
西島 初めて会ってから、何年ぐらいたっていたんですか。
三田村 十年ですね。
篠原 ずっとツァイ・ミンリャン監督とはお付き合いはあったんですよね。
三田村 俳優と監督としてではなく、個人的にずっと付き合いがありました。監督自身も僕が監督の映画に出ているっていうのが、未だに不思議だってうぐらいで。自分も不思議です。
西島 それにしても、ツァイ・ミンリャン監督の映画に出ている俳優さんって本当に素晴らしいですよね。ふっと、一瞥しただけで、映画の中のその人が何か特別な思いを持っていることが見ている人に伝わるんですよ。それは一体なんなんだろうとずっと思っていて。きっとそれは、間とか、動くスピードとかが絶妙でないと表現できるものではないと思うんです。簡単に表現できるものではない。と。ご本人を前にしていうのはいやなんですけれど、その『楽日』での三田村さんの演技が本当に素晴らしくて。
三田村 初めて聞きました(笑)。
西島 悔しいから言いたくなかったんですけれども(笑)。本当にすごくいいんです。僕自身がいくつかの作品の中で目指していたもの、削ぎ落とした形での表現なんです。ワンカット、ワンカットの中に余分なものが一切なくて、だからこそ逆にすごく強度がある。それが徹底して表現されていて。日本人の若い俳優さんの中でそれが上手く表現できている人が一体何人いるだろう、って思ってしまったし。参りました、って感じです。今日ここに来させていただいたのは、僕自身、色々と三田村さんに聞いてみたいというのもあったんです。現場でツァイ・ミンリャン監督はどのような演出をされていたのか興味がありますし。この前三田村さんの話を聞いていたら、ツァイ・ミンリャン監督からいきなり「遊びに来い」って言われて行ったら、そこが製作発表の場所だった、と。そして、そのまますぐに撮影に突入した、とお聞きしたんですが。
三田村 映画ってそういうものだとずっと思っていました。『楽日』の撮影のすぐ後に、別の台湾の監督の[台湾製造](ウー・ミーセン監督)という作品の撮影をしたんです。それも、「沖縄に10日間一緒に遊びに行きましょう」と言われて行ったら、着いた時にはカメラが回っていたという、脂汗状態でした。そういうものが映画だと思っていたので、あんまり日本の映画、きっちり台本があって準備があってっていうのはよくわからないんです。『楽日』はそんな感じで、台本はありませんでした、監督は撮影が終わってから台本を作ったみたいですし。
西島 えっ、台本がないんですか。
三田村 ないんです。この『楽日』はツァイ・ミンリャン監督がやりたいものを撮るというかたちでした。夕方から撮影が始まって朝までずっと、水商売みたいな感じですね。夕方5時入りで、朝4時までの生活です。監督が昼間のうちにイメージしたことをもとに撮影が始るので、役者さんはみんな待機していないといけないんです。でないと始まらないので。必要な時に必要な役者さんが呼ばれて、監督のイメージした画というのを作り上げて、繋げていく。そして、撮影が終わってから台本を渡されましたね。
篠原 日本の監督さんの中でそんな撮り方される方いらっしゃいますか。
西島 僕もそんなにたくさんの監督の方と仕事をしるわけではないので分からないんですが。『2/デュオ』や『M/OTHER』で出演させていただいた諏訪監督はそれに近いかもしれないですね。『2/デュオ』の時は、その日に撮影することを決めていました。ただ、完全に順撮りでしたので、イメージを繋げていくというよりは、前日撮ったシーンの次は何を撮るかということで、撮影が進んでいきました。そのような撮り方は日本ではあまり聞かないですよね。
三田村 ツァイ・ミンリャン監督の他の映画では、ちゃんとした台本はあるみたいですが。
篠原 『楽日』が特別だったみたいですね。
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