第一弾 蔡明亮と語る!中原昌也編
第二弾 蔡明亮と語る!諏訪敦彦編
第三弾蔡明亮が語る蔡明亮倶楽部編
第四弾 蔡明亮を語る!瀬々敬久編 第五弾 蔡明亮を語る!西島秀俊編
第六弾 蔡明亮を語る!野崎歓編 第七弾 『楽日』を語る!諏訪敦彦編 第八弾『楽日』を語る!宇田川幸洋編 第九弾『楽日』の楽日を語る三田村編 第十弾『西瓜』の初日を語る!夜桜編

『楽日』『迷子』の上映をひかえたユーロスペースにて『ふたつの時、ふたりの時間』の上映後、来日中の蔡明亮監督、李康生監督が中原昌也氏を迎え、新作について語る語る語る! 『楽日』の三田村恭伸氏も参加して、日付が変わっても続いた 白熱のトーク!
採録・構成プレノンアッシュ/通訳 渋谷裕子
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中原昌也 プロフィール
1970年生まれ。作家・ミュージシャン。2001年『あらゆる場所に花束が・・・』で第十四回三島由紀夫賞を受賞。著書に『マリ&フィフィの虐殺ソングブック』『子猫が読む乱暴者日記』をはじめ、映画評論集、対談集など。「点滅……」が第135回芥川賞候補にノミネート。ミュージシャンとして、暴力温泉芸者、ヘア・スタイリスティックス名義による音楽作品も多数ある。



◆ なぜセリフがないのですか?

中原 こんにちは。今日はなんのお話から始めたらよいでしょうかね。

 今日ここにお邪魔した大きな目的のまずひとつは、中原さんとの対談、もうひとつの私と李康生の任務は、皆さんにチケットを買っていただくように宣伝することです。8月から上映される私達の『楽日』『迷子』のチケットの前売りのイベントが今日から始まるということなので、ここに来てくださっている皆様というのは、最初にチケットを買ってくださった皆様なのではないでしょうか?

中原 そうですね。今日は、熱心なファンの方が集っていると思いますよ。初めて見る顔ぶれじゃないですよね。

 ありがとうございます。今日このなかで、何人か顔なじみの方がいらっしゃいますけれども、たぶんこの映画『ふたつの時、ふたりの時間』を見るのも三回目くらいの方がいらっしゃると思います。

中原 どの方ですか、立ち上がってください。

 ユキサンです。

中原 ああ、あの方ですね。どんなふれあいがあったのですか?

 以前から知っていたので、さきほど食事をご一緒させていただきました。この映画をご覧になりたいということだったので、急いで食事をして別れました。

中原 さて、まずお聞きしたいのは、監督は初対面の人に映画の感想を言われるとき、どういう内容が多いですか?

 台湾ではこういう状況がありました。私の『西瓜』を見に来てくれた50歳くらいの女性なんですが、その女性が見終わった後、私を映画館の出口で待っていてくれてこう言いました。「この映画、どうしてセリフがないのですか? どうしてこんな映画なのですか?」私はそういう女性に対して忍耐力がありますので、こう答えました。「他の映画はセリフが多すぎると思いませんか?」

中原 詭弁な感じもしますけど(笑)

 私の映画は疑問を引き起こしがちな映画です。私の作風のような映画は本当に少ないものですから、初めて私の映画を見た人は、それまでこのような映画を見たことがないのですから、疑問がでてきて当然です。インドでもある観客の人が「全部のシーンがあまりに長すぎませんか? あまりにも静かすぎませんか? どうして音楽をもっといれないのですか?」と聞いてきました。

中原 余計なお世話ですね。

蔡 そういう質問には、時にはとてもまじめに答えますし、時には先ほどのようにはぐらかすときもあります。インドの人の質問には「インド映画には、ものすごく長いものもあるじゃないですか? ミュージカルシーンが10分も続くものもあるじゃないですか?」と答えました。
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