楽日 迷子 西瓜 蔡明亮 ツァイ・ミンリャン   李康生 リー・カンション   監督出演者インタビュー  
   
 

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解説

2005年、台湾映画界に大きく衝撃的な事件がおこった。それはツァイ・ミンリャン監督の『西瓜』の公開だ。その年の台湾興行収入第1位を記録したこの映画は、政府や映画界、そして観客にとってのエポックメイキングな作品となった。

オープンな今の台湾社会でもタブーとされる映画での強烈なセックスシーンは、今まで語られなかった「性の描写」についての様々な論議を巻き起こし、それは台湾だけでなく世界中の政府の開放度を、皮肉にもこの映画が審査することになった。そして、香港や台湾ではノーカットで公開された。この映画によって各国の審査の基準が変わったのだ。

このような出来事はマスコミや観客の関心を集め、好奇心は動員に繋がっていった。しかし、その好奇心だけが13万人もの観客に映画館へ足を運ばせたわけではない。政府が映画の芸術性を認めたように、観客は脆く危うい恋の始まりを描く切ない物語や、微妙な表情の変化や仕草で心の揺れを表現する役者たちの演技に感動し、やがて好奇心は作品や役者への敬意に変わり、映画は広がっていったのだった。

監督は言う。芸術は常に最前線を歩いていくもの。だから、聞き分けのいい子になってはいけない。言うことをきかない反抗的な子であってこそ、創造性が生まれてくる。『西瓜』は、間違いなく彼の作品の中で一番「言うことをきかない子ども」なのだろう。

過激なAVの撮影シーン以上に驚嘆させられるのが、原色鮮やかなミュージカルシーン! 鋭い刃物で現実を切り取るかのように挿入されるポップでキッチュなミュージカルシーンは、コミカルな様相とは裏腹に、登場人物たちの焦りや苛立ち、不安を浮き彫りにしていく。現実のラブストーリーとミュージカルシーンを行き来するうちに、スクリーンには映し出されない「新たな世界」が立ち現れてくるのだ。それこそが映画のマジック! ツァイ・ミンリャンはこの映画で確かに新しい映画への第一歩を踏み出した。

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