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人は失ってはじめて、大切なものに気づき、後悔する―李康生・監督宣言私の父は長期にわたる闘病生活の後、死を迎えました。父が死んだ2年後、兄に子供が生まれ、母は父の生まれかわりだと確信していました。そして早期退職をし、初孫の世話をしていました。この小さな天使がゆっくりとですが、私達家族に暗くのしかかっていた父の死の影を拭い去っていったのです。 ある日、母は孫を連れて公園に遊びに行きましたが、子供は滑り台から落ちて額にこぶを作ってしまいました。母は兄に責められるのではないかと怖くなり、青ざめていました。また別の日には、母は間違って賞味期限の切れた牛乳を子供に与えてしまい、その夜は眠ることができませんでした。私はこれまでにこんなにも無力で傷つきやすい母を見たことがありませんでした。そして私は、この小さな甥が公園で迷子になったら、母はどうするのであろうかと考えるようになりました。そしてまた、もしこの子が2年早く生まれていたら…とも考えました。病気で苦しんでいた父も、あんなにも簡単に人生を諦めることはなかったのではないだろうか…。多分、彼の病は癒され、孫を公園に連れて行ったかもしれない…。そして、私もあんなに早く父を亡くさなかったかもしれない…。 昨年、ある地区の路地で汚れて異臭を放つ朝食のボックスがたくさん見つかったというニュースをテレビで見ました。調査の結果、小学生の仕業であったことが分かりました。毎朝、その子供は祖父が用意してくれた朝食を路地裏に投げ捨て、マクドナルドで朝食を買っていたのです。このことを知った祖父はひどく傷ついたそうです。そして私は『迷子』を撮ろうと決心したのでした。 この10年、色々な監督の映画で演技をし、他人の経験を演じてきました。しかし、この映画で私は、自分の経験を、自分の思いを、自分自身の物語を、自分のやり方で他の人たちと共有したいと願っています。 |
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