2001年のカンヌは、ゴダール久々の新作に沸いた。実に35年ぶりに記者会見場に姿を現したゴダールを、司会者は「皆さん、GOD(GODARD)の登場です」と紹介した。『愛の世紀』はまずその圧倒的な美しさで見る者を驚嘆させる。今では稀少なモノクロ35ミリフィルムで撮影された陰影深い白黒画面の第1部、そしてデジタルビデオで撮影され最新の技術を駆使して鮮烈な彩色を施された第2部。「映画史上最も美しい海」「映画史上最も哀惜に満ちたヘッドライトの洪水」と惜しみない絶賛の声が寄せられた映像は、『勝手にしやがれ』(59)以来約40年間にわたって常に映画の最前線にあったゴダールが、新たな第一歩を踏み出したことを雄弁に物語る。