「レスリー・チョンとトニー・レオンは俳優として、そしてまたアジアを代表するトップスターとして豊かなキャリアを積んできました。そうした経験と成功が彼らを魅力的にし、また彼らに自信を与えてきました。 だからこそ私は彼らのバランスを崩してみたくなったのです。ふたりとも私の過去の作品に何度も出演していますが、共通して言えることは愛し方が足りない役を演じてきたことです。そこで今回ふたりには徹底的に 誰かを愛してしまう役をやらせてみようと思いました。ふたりの化学反応がこの映画の神髄を担っています」

「私はこの映画をゲイフィルム、あるいは同性愛映画というジャンルに押し込めてしまおうという人がいるのを、たいへん残念に思います。 この映画は愛し合ったふたりがたまたま男同士であったというだけの、とてもシンプルな愛の物語なのです。ひとを愛するとき誰もが抱く感情・・・。深い恐れと絶望、激しい歓喜と希望・・・をこの映画から 感じ取ってもらえるならば、登場人物が男であるか女であるかといった性別の問題はさほど重要なことではなくなるはずです」

「なぜアルゼンチンで映画を撮ろうと思ったのかと、よく聞かれます。何よりも我々には“距離”が必要だった。『天使の涙』を撮り終えた後、新しい何かを模索していた我々は、これまで一度も足を踏み入れた ことのない、勝手のわからない地球の真裏の土地へ行き、時間や空間の感覚を劇的に変えることが必要だったのです」

「色で温度を表したかったのです。冒頭、主演のふたりは冬のアルゼンチンを旅していますが、目的を見失い、ふたりの間に吹きはじめた冷たい風を感じています。その時、寒々としたペールトーンが画面を支配します。 そしてふたりが再会し、心が通いはじめた瞬間、画面がモノクロからカラーに変わります。季節は春を迎えようとしているのです」